猫と手裏剣

AIサービス プライバシー・セキュリティ定点観測レポート(2026年7月28日)


今週の巡回結果

サービス ページ 状態
ChatGPT (OpenAI) エンタープライズプライバシー 変更あり
ChatGPT (OpenAI) セキュリティとプライバシー 変更あり
ChatGPT (OpenAI) ビジネスデータの取扱い 変更あり
ChatGPT (OpenAI) プライバシーポリシー 変更あり
Gemini (Google) Geminiアプリ プライバシーハブ 変更あり
Gemini (Google) Workspace生成AI プライバシーハブ 変更あり
Gemini (Google) アクティビティの管理・削除 変更あり
Claude (Anthropic) プライバシーポリシー 変更なし
Claude (Anthropic) プライバシーセンター 変更なし
Claude (Anthropic) プライバシー・法務ヘルプ記事一覧 変更なし
Claude (Anthropic) Trust Center 変更あり
Claude (Anthropic) 透明性ハブ 変更あり
Microsoft 365 Copilot データ・プライバシー・セキュリティ 変更あり
Microsoft 365 Copilot Copilot Chatのプライバシーと保護 変更あり
Microsoft 365 Copilot エンタープライズデータ保護 変更あり

各サービスの変更内容と実務への影響

ChatGPT (OpenAI)

対象ページ:エンタープライズプライバシー / セキュリティとプライバシー / ビジネスデータの取扱い / プライバシーポリシー

今回検出された変更は、4ページ共通で「API ログイン」という表記が「API にログイン」に修正されていた点、およびナビゲーションメニュー項目の一部(「研究インデックス」「GPT-5.3 Instant」「プラットフォームの概要」「ドキュメンテーション」)が削除または整理されていた点です。

これらはサイト上のナビゲーション構成やメニュー表記の変更とみられるもので、プライバシーポリシーや利用条件の内容そのものが変わったことを示す差分ではありません。

実務への影響:なし。 利用者が意識すべき条件変更は確認できませんでした。


Gemini (Google)

Geminiアプリ プライバシーハブ(リンク

今回の変更でいくつか注目点があります。

まず、ページの最終更新日が「2026年6月29日」から「2026年7月15日」に変わっています。

次に、「NotebookLM のプライバシーと利用規約」という記載が「Gemini Notebook のプライバシーと利用規約」に変更されました。NotebookLMがGemini Notebookという名称に変わったことを反映したものとみられます。ツール名の変更ですが、利用規約の参照先として名称を把握しておく意味はあります。

また、エージェント機能(AIが自律的にタスクをこなす機能)を使用する際のデータ共有に関する記述が修正されています。旧来の表現は「エージェント機能を使用すると、Gemini はこのデータを外部と共有して、タスクの完了を支援します」というものでしたが、新しい表現は「Gemini にタスクの実行をリクエストすると、Gemini はそのタスクを完了するために、必要なデータをユーザーに代わって外部と共有します」となりました。意味の実質的な変更というよりは、データ共有の主体と文脈をより明確にした表現修正とみられます。ただし、エージェント機能を業務で使っている方は、「外部とデータが共有される」という事実自体はこれまでと変わらない点を改めて意識しておくとよいと思います。

さらに、「このページには、AI 技術を使用して翻訳されたコンテンツが含まれている場合があります。AI 翻訳には誤りが含まれている可能性があります。」という注記が新たに追加されました。日本語ページの記述をそのまま参照して判断する際には、念頭に置いておきたい点です。

実務への影響:軽微。 ポリシーの骨格に変更はありませんが、エージェント機能を業務利用している場合は外部データ共有の説明文が更新されたことを確認しておくことをお勧めします。

Workspace生成AI プライバシーハブ(リンク

最終更新日が「2026年7月16日」から「2026年7月22日」に変わっています。

内容面では、「アルファ版機能へのアクセスをオンまたはオフにする」が「ベータ版機能へのアクセスをオンまたはオフにする」に変更されました。機能の成熟段階の呼称変更(アルファからベータ)を反映したものとみられます。

また、「EU AI 法」という表現が「EU AI 規則」に統一されています。これは法令の正式名称の表記を整えたものとみられます。利用条件の変更ではありません。

実務への影響:なし。 表現の整理・更新の範囲です。

アクティビティの管理・削除(リンク

「AI 技術を使用して翻訳されたコンテンツが含まれている場合があります」という注記が追加された点が検出されています(Geminiアプリ プライバシーハブと同様の追加)。内部識別子の変更も検出されていますが、利用者には無関係です。

実務への影響:なし。


Claude (Anthropic)

Trust Center(リンク

モデルに関するドキュメントの構成が整理されています。「Claude Sonnet 5」「Claude Opus 5」のモデルドキュメントフォームが新たに掲載され、従来の「Claude Mythos Preview」のフォームは削除されています。新モデルの追加に伴うドキュメント整備とみられます。

また、「Training Data Summaries(学習データのサマリー)」という新カテゴリが設けられ、「AB 2013 Training Data Summary」「Claude Sonnet 5」「Claude Opus 4.7」「Claude Opus 4.8」の各サマリーが公開されています。AB 2013はカリフォルニア州の生成AI学習データ開示に関する法律です。各モデルがどのようなデータで学習されたかの開示が進んでいることを示しています。

さらに、HIPAA(米国の医療情報保護に関する法律)対応の実装ガイドが2026年7月20日付で更新されています。「BAA(Business Associate Agreement=業務委託契約の一種)の対象となるサービスの範囲や機能カバレッジが更新された」とされています。医療関係の顧問先と連携してClaudeを利用している場合は確認に値します。日本の税理士事務所において直接的な影響は限定的ですが、米国のコンプライアンス要件に関わる方は参照をお勧めします。

一方、「Claude.ai エンタープライズのアクセシビリティ適合レポート」(4月公開分)の記載は削除されています。これはレポート内容の削除というよりも、Trust Centerの表示構成の変更によるものとみられます。

実務への影響:軽微。 学習データの透明性開示が拡充されている点は、Claudeの業務利用の根拠整理に役立てられる情報です。

透明性ハブ(リンク

最終更新日が「2026年1月29日」から「2026年7月23日」に変わり、報告期間が「2025年7月〜12月」から「2026年1月〜6月」に更新されました。半期ごとに定期公開されているレポートの最新版が出た形です。

注目点として、NCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)への報告件数が「145万件」から「1,140万件」へ大幅に増加しています。これはClaudeの利用者数拡大に伴い検出件数が増えたものとみられますが、件数の解釈にあたっては差分の範囲で確認できる事実にとどめます。また今回から、報告の内訳としてハッシュ照合によるCSAM(児童性的虐待素材)検出と、機械学習分類器による新規検出を区別して開示するなど、報告の詳細度が上がっています。

これはAnthropicとしての安全対策の透明性確保の取り組みであり、利用条件の変更ではありません。

実務への影響:なし。


Microsoft 365 Copilot

対象ページ:データ・プライバシー・セキュリティ / Copilot Chatのプライバシーと保護 / エンタープライズデータ保護

差分として検出された文字列が文字化けしており、変更内容を正確に読み取ることができませんでした。表示上の変更や軽微な表記修正の可能性がありますが、内容の断定は控えます。

実務への影響:不明(文字化けのため内容の判断不可)。 引き続き次回以降の巡回で確認します。


総評

今週は、プライバシーポリシーや利用条件の実質的な変更は確認されませんでした。

OpenAIの各ページはナビゲーションの表記整理、GoogleのGemini関連ページは名称変更・表現修正・AI翻訳の注記追加が中心です。ClaudeのTrust Centerは学習データの開示拡充とHIPAA対応ガイドの更新がありましたが、一般的な業務利用者のデータ取り扱い条件に直接影響するものではありません。

現時点で、各サービスの利用方針を見直す必要があるような重大な変更は今週の巡回では確認されていません。

ただし、GoogleのGemini Notebookへの名称変更(旧NotebookLM)と、エージェント機能における外部データ共有の説明文更新については、該当機能を業務で活用されている方は念のため原文を確認しておくことをお勧めします。


この観測は何を・なぜチェックしているのか(毎回掲載)

本レポートは、主要AIサービスの公式ページのうち、業務利用の可否判断に
直結する条件が書かれているページ
を毎週機械的に取得し、前回の内容と
一言一句を比較して「変わったかどうか」を検出しています。
見ているのは主に次の観点です。

  • 入力データの学習利用: 打ち込んだ内容がAIの学習に使われるか。
    顧客情報を扱う士業・企業にとって最重要の条件です
  • データの保持・削除: 入力内容がどれだけの期間、事業者側に残るか
  • 法人向けのデータ保護: 一般向けと法人向けで扱いがどう違うか
  • 第三者認証: SOC 2やISO 27001/42001など、外部監査を受けている
    かどうか。事業者の「自称安全」ではない裏付けです
  • 委託先(サブプロセッサ): 入力データに触れうる外部業者の一覧。
    ここが増減した=データの流れが変わった可能性があります
  • 透明性レポート: アカウント停止件数や法執行機関への対応など、
    事業者の運用姿勢を示す開示情報です

ポリシーページの文言が変わるということは、利用条件そのものが
変わった可能性がある
ということです。各社は変更を大々的には
告知しないことが多いため、機械的な定点観測に価値があります。
なお「変更あり」には誤字修正やデザイン変更も含まれるため、
重要そうな変更は必ずリンク先の原文でご確認ください。

監視対象ページ一覧


本レポートは、各社公式ページの本文を機械的に取得して前回分と比較し、AIが差分を要約する実験企画「AIセキュリティ定点観測」です。人間の校閲を経ていないため、要約に誤りを含む可能性があります。利用判断の際は必ず本文中のリンク先(公式ページ)をご確認ください。