猫と手裏剣

AIサービス プライバシー・セキュリティ定点観測レポート(2026年10月12日)


今週の巡回結果一覧

サービス ページ名 状態
ChatGPT (OpenAI) エンタープライズプライバシー 変更なし
ChatGPT (OpenAI) セキュリティとプライバシー 変更なし
ChatGPT (OpenAI) ビジネスデータの取扱い 変更あり
ChatGPT (OpenAI) プライバシーポリシー 変更あり
Gemini (Google) Geminiアプリ プライバシーハブ 変更あり
Gemini (Google) Workspace生成AI プライバシーハブ 変更あり
Gemini (Google) アクティビティの管理・削除 変更あり
Claude (Anthropic) プライバシーポリシー 変更あり
Claude (Anthropic) プライバシーセンター 変更なし
Claude (Anthropic) プライバシー・法務ヘルプ記事一覧 変更あり
Claude (Anthropic) Trust Center 変更あり
Claude (Anthropic) 透明性ハブ 変更あり
Microsoft 365 Copilot データ・プライバシー・セキュリティ 変更あり
Microsoft 365 Copilot Copilot Chatのプライバシーと保護 変更あり
Microsoft 365 Copilot エンタープライズデータ保護 変更あり

変更ありページの内容と実務への影響

ChatGPT (OpenAI)

ビジネスデータの取扱い/プライバシーポリシー

差分として検出されたのは「(新しいウィンドウで開く)」というリンク表示テキストの追加のみです。ページのナビゲーション表示に関するごく軽微な変更とみられ、データの取扱い方針そのものの変更ではありません。実務への影響はありません。


Gemini (Google)

Geminiアプリ プライバシーハブ/アクティビティの管理・削除

差分に現れているのはページ内部の識別番号の変化のみです。ページ構成の管理上の変更とみられ、ポリシーや操作方法の内容は変わっていません。実務への影響はありません。

Workspace生成AI プライバシーハブ(最終更新日:2026年8月14日→2026年10月6日)

今週でもっとも内容の多い変更です。ただし、大半は日本語訳の表現整理(「含まれます」→「保存されます」、「明記されます」→「明確に特定されます」、旧称の表記「NotebookLM」の読点位置調整など)です。利用者が把握しておくべき実質的な変更点は以下の2点です。

① 外部共同編集時のデータ保護に関する説明が新たに追加されました

Googleドライブ上のファイルを外部の方(取引先など)と共有している場合に、Geminiがどのようにデータを扱うかを説明した項目が新設されています。具体的には次の内容です。

  • ファイルが「リンクを知っているすべてのユーザー」に公開されている場合や、組織ドメイン外で作成されたファイルを開いている場合、GeminiのサイドパネルにはAIへの入力内容や生成結果が外部参加者にも見える可能性がある旨を知らせるバナーが表示される。
  • 外部に公開されているファイルについては、GmailやGoogleドライブなど他のWorkspaceアプリをまたいだ情報の参照(グラウンディング)がデフォルトで無効になる。

税理士事務所で顧問先とGoogleドキュメントやスプレッドシートを共有している場合は、このしくみを頭に入れておいてください。「外部共有しているファイルでGeminiを使う際は、情報の流れに注意が必要」という方向性は変わっておらず、むしろその説明が整備されたと受け取るのが適切だと思います。

② Gemini in ChromeのコンプライアンスのFAQで「2025年に最新情報をお知らせ」という記述が削除されました

ISO・SOC・FedRAMPなどの認証取得に向けた進捗の見通しとして記載されていた「2025年に最新情報をお知らせする予定」という表現が、「近日中に最新情報をお知らせする予定」に差し替えられています。表現の修正にとどまり、認証の有無そのものは変わっていません。


Claude (Anthropic)

プライバシーポリシー/透明性ハブ

差分として「Financial advisors(ファイナンシャルアドバイザー)」「Frontier Academy」という項目が追加され、「Scientists(科学者)」の表記が削除から追加へと入れ替わっています。ページ内のカテゴリーやリスト表示に関する変更とみられます。ポリシーの内容そのものが変わったことを示す差分は確認できません。実務への影響はありません。

プライバシー・法務ヘルプ記事一覧

ヘルプ記事の一覧表示から多数の項目が削除された差分が検出されています。ページの構成やナビゲーション方式が変更されたものとみられます。個別記事の内容が削除されたかどうかは差分からは判断できません。なお、削除されたリストの中に「I would like to input sensitive data into my chats with Claude. Who can view my conversations?(機密データをClaudeとのチャットに入力したい場合、誰が会話を閲覧できますか?)」という項目が含まれており、気になった方もいるかもしれません。ただし、これはページ一覧表示上での変化であり、記事そのものが削除されたと断定できる差分ではないため、該当の疑問がある場合はClaudeのサポートページで直接検索されることをおすすめします。

Trust Center

「SOC 2 Bridge Letter(2026年10月版)」という文書が新たに公開されました。これはSOC 2と呼ばれる情報セキュリティの第三者審査(サービスの内部統制が一定水準を満たしているかを監査する認証)の最新状況を証明するブリッジレターです。また、「Unified Claude Security Best Practices(統合されたClaudeセキュリティベストプラクティス)」という文書も追加されています。

さらに、Claude Code CLI(AIを使ったプログラミング支援のコマンドラインツール)のアクセシビリティ適合報告書(ACR)が公開されました。WCAG 2.2レベルA・AAへの対応状況を記したもので、スクリーンリーダーとの互換性テスト結果なども含まれています。

これらは主に企業の情報システム担当者や監査対応の文脈で参照される資料であり、一般的な利用上の条件変更ではありません。通常業務への直接の影響はありません。


Microsoft 365 Copilot

3ページで変更が検出されましたが、差分の内容はいずれも「Last updated on」という英語表記が日本語表記に切り替わったことを示すものです(文字化けとして検出されましたが、内容は「最終更新:」に相当します)。ページ表示言語の整備によるものとみられ、ポリシーや機能の変更ではありません。実務への影響はありません。


総評

今週の巡回結果で、各サービスのデータ取扱い方針や利用条件に実質的な変更は確認されませんでした。

唯一、内容として把握しておく価値があるのは、Google Workspace向けGeminiのプライバシーハブに追加された「外部共同編集時のデータ保護」に関する説明です。ファイルを取引先と共有しながらGeminiを業務利用している場合は、どのような場合に情報が外部参加者から見える状態になりうるかを、改めて確認しておくとよいでしょう。ただし、これは新しい制限が課されたわけではなく、既存の動作の説明が整備されたものです。今すぐ設定変更が必要な内容ではありません。

その他の変更はいずれも表現の修正、ページナビゲーションの調整、または文書の追加公開にとどまります。今週は「様子見でよい」週です。


この観測は何を・なぜチェックしているのか(毎回掲載)

本レポートは、主要AIサービスの公式ページのうち、業務利用の可否判断に
直結する条件が書かれているページ
を毎週機械的に取得し、前回の内容と
一言一句を比較して「変わったかどうか」を検出しています。
見ているのは主に次の観点です。

  • 入力データの学習利用: 打ち込んだ内容がAIの学習に使われるか。
    顧客情報を扱う士業・企業にとって最重要の条件です
  • データの保持・削除: 入力内容がどれだけの期間、事業者側に残るか
  • 法人向けのデータ保護: 一般向けと法人向けで扱いがどう違うか
  • 第三者認証: SOC 2やISO 27001/42001など、外部監査を受けている
    かどうか。事業者の「自称安全」ではない裏付けです
  • 委託先(サブプロセッサ): 入力データに触れうる外部業者の一覧。
    ここが増減した=データの流れが変わった可能性があります
  • 透明性レポート: アカウント停止件数や法執行機関への対応など、
    事業者の運用姿勢を示す開示情報です

ポリシーページの文言が変わるということは、利用条件そのものが
変わった可能性がある
ということです。各社は変更を大々的には
告知しないことが多いため、機械的な定点観測に価値があります。
なお「変更あり」には誤字修正やデザイン変更も含まれるため、
重要そうな変更は必ずリンク先の原文でご確認ください。

監視対象ページ一覧


本レポートは、各社公式ページの本文を機械的に取得して前回分と比較し、AIが差分を要約する実験企画「AIセキュリティ定点観測」です。人間の校閲を経ていないため、要約に誤りを含む可能性があります。利用判断の際は必ず本文中のリンク先(公式ページ)をご確認ください。